2023/07/14
極私観4:夏の記憶
降り注ぐ陽光。舗装道路からの照り返し。
眩しさに目を細めながら、繁華街のアーケードを通り過ぎると、
市内の小中学生で溢れかえる一角が、そこにはあった。
そう、映画館である。
何故に小僧っ子ばかりで賑わっているのか。
理由は至極単純。東映まんがまつりの興行があったからである。
この記憶は、四半世紀ほど前の夏のこと。
当時、映画の上映方式は、入れ替えなしの2本立てというのが当たり前の時代であった。
好きな時間から観ることができたので、途中での入退出というものが頻繁に行われていたのであった。
少しでも良い席で観賞したいと願う、わんぱくどもで劇場内はひしめき合い、蠢いていたのだ。
私の姿もその中にあった。
現代は、「個」の時代。
映画を観るのも、自身のガジェットで済ませてしまう時勢。
1人でゆっくり楽しみたいと思うのは当然の摂理であるのだが、
肌感覚として、観客の熱狂を感じられなくなったというのは寂しい限りである。
ノスタルジックな気持ちが多分に勝っているが、
何だか現代の映画産業から、どんどんと温度が失われていると感じてしまう。
私も映像業界に生きる端くれ。
周囲に熱を与えられる様な存在になれたら本懐だ。
それにしても、夏は暑くて敵わない。
冬生まれの私は、やはり冬が好きなのだということを噛みしめつつ、筆をおく。
皆様はどの様な夏をお過ごしになるのでしょうか。
涼しくなった秋頃にまた、お逢い致しましょう。再見。