2020/05/11
くっすん大黒
皆さんこんにちは。 感染者数が少なくなってきて、コロナへの緊張はやや緩んできているように感じます。 2週間後にまた爆発的に感染者数が増える、なんて事にならないように気を付けましょうね。 先日、東京に住んでいる友人のご家族が、コロナにかかって危篤状態だという事を知りました。 その他にも、別の友人から、経営している飲食店を今月で閉店するという連絡を受けました。 日本の経済が昨年の12月くらいの水準に戻るためには10年近くかかるそうです。 テレビをつけても気が滅入りそうなニュースばかりです。 憂鬱ですね。ほんとに。 そんな気分を転換するために久しぶりに本を読みました。 町田康「くっすん大黒」という小説です。 皆さん、町田康(まちだ こう)っていう方をご存じですか? 大阪府堺市出身、1981年にINU(いぬ)っていうパンクバンドでアルバム「メシ喰うな!」でデビュー。 当時は町田町蔵(まちだ まちぞう)として活動。 2000年に小説「きれぎれ」で芥川賞受賞。 この方のデビュー作「くっすん大黒」は、というか、 町田康の作品は、その大体が同じ感じの話なのですが・・・。 とにかく面白い、小説なのに声を出して笑ってしまいます。 <あらすじ> 三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、 毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。 誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます。 自立できない不格好な大黒様の置物を捨てに行くところから始まる、 日常の中の異次元世界。 映画化された別の小説「けものがれ、俺らの猿と」とほとんど同じような話。 職を失い、奥さんにも逃げられ、人生のどん底付近、 無軌道でぶっ壊れているのに、なんかちょっと賢そうで、 ほとほと困り果ててる状況なのに、生命力にあふれている。 独特の文体で、とにかく笑ってしまう。 町田康の小説はほとんど読んでいますが、 やっぱりこれが一番面白いです。 コロナで憂鬱な気分を見事に吹き飛ばしてくれました。