言葉のチカラを最大限に引き出すナレーション収録

プロモーションのこと、制作のこと、気になる話題をお伝えします

  • 音声・楽曲

言葉のチカラを最大限に引き出すナレーション収録

ナレーションとは、素敵な声のナレーターさんが正しいアクセントで滑舌よく読めばいいというものではありません。同じ原稿でも、制作意図を正しく効果的に伝えるため、言葉のチカラを最大限に引き出すため、的確なディレクションが必要不可欠です。今回は私がいつもナレーション収録の際に気をつけているポイントについて書きたいと思います。

まず、標準アクセントとは?

「あつい」という文字列を口に出して言うとき、「暑い」のか?「厚い」のか?「熱い」のか? アクセントによって意味が変わるということはナレーター業界の常識です。この場合、標準アクセントでは真ん中の「つ」だけにアクセントがくる中高型だと「暑い」「熱い」のHOTな感じ、後半の「つい」を同じ高さで読む平板型だと「厚い」の意味になります。

「標準アクセント」とは、あくまで「標準」です。それだけが正しい日本語というわけではなく、たとえばテレビやラジオといったパブリックな場面で使っても、多くの人が違和感なく聞き取れるアクセントという位置づけです。

弊社では「NHK日本語発音アクセント新辞典」に基いたナレーション収録を行っています。

大事なのはアクセントだけではありません!

ではアクセントが正しければ、その文章の意味が正しく伝わるのでしょうか?これが「100%YES」ではないところがナレーションの奥深さなのです。

わたしたち音声制作チームでは、ナレーションを収録するときに、その原稿が伝えたい意味が正しくしっかりと伝わるように(言い換えれば「間違った意味で伝わってしまわないように」)読み方のチェックをしています。情報を発信するクライアントの立場の耳になって聴く作業と、情報を受け取るお客さんの立場の耳になって聴く作業を同時に行っているともいえます。

その時にポイントとなるのが「言葉の立て方」です。

テレビのナレーションで気になった「言葉の立て方」

最近テレビを見ていて気になった例を挙げます。ナレーターさんは①の読みをされていましたが、番組を見る限りは②の意味の原稿と思われました。黄色箇所を立てて(音の高さを上げて)読んでみてください。

<例1>

①この養鶏場のニワトリは、味のいいを産むと言われています。
→ニワトリは卵以外も産むんですか?

②この養鶏場のニワトリは、味のいい卵を産むと言われています。
→ただの卵ではなく、美味しい卵を産むんですね!

 

<例2>

①店主は決意します。これからは質のいい日本酒だけに絞ろう。
→洋酒の扱いをやめて日本酒専門店になるんですね。

②店主は決意します。これからは質のいい日本酒だけに絞ろう。
→扱う日本酒の種類を質のいいものだけに厳選していくのですね。

 

<例3>

①この工程を担当しているのは一番経験のある社員たちです。
→パートさんではなく、社員さんなのですね。

②この工程を担当しているのは一番経験のある社員たちです。
→多くの社員さんの中でもベテラン社員さんが担当しているのですね。

 

このように、言葉を立てる箇所を間違ってしまうと、本来伝えたかったことが違う意味で伝わってしまうのです。世の中に溢れかえっているナレーションの中には、このミスをしてしまっているパターンが結構あるのではないでしょうか?

アクセントとイントネーションの違い

「アクセント」とともに日本語の話し言葉で重要な要素が「イントネーション」です。アクセントというのは言葉単体での音の高低ですが、イントネーションというのは文章全体での音の高低です。ひとつひとつの言葉のアクセントを意識するあまり、カクカクした読みになる新人ナレーターさんも多いのですが、文章の中の大きな山、どこからどこまで意味が繋がっているのかを意識すると自然な読みになります。そして、強調したい箇所があった場合は、そこを大きな声で読むのではなく、アクセントは活かしたままで音を高くしたり、間を取ったり、読む早さの緩急をうまく使い分けることで言葉を「立てる」アプローチをします。

たとえば「各地の神社の境内には・・・」という文章。これを単純に各単語のアクセントに則って読むと

くちのんじゃのいだいには」

と3回高くなります。3回全部同じ高さの音で読んでしまうと、ラップ調みたいになって不自然です。そこで「各地の神社」というくくりの中で大きなアクセントは頭の「か」だけ。ワンワードとして捉えます。

くちのじんじゃの、いだいには」

そして今回は「各地」ということをより伝えたいので、「か」「け」音の高さを同じにしないで、「か」より「け」のほうが少し低くなるようにします。

くちのじんじゃの、いだいには」

どうでしょうか?自然な読みに近づいたのではないでしょうか?

ナレーション収録へのこだわり

このようにナレーション収録というのは、ただ声を録るだけの作業ではなく、言葉のチカラを最大限に引き出すディレクションが大切なのです。私たちシードアシストはこれからも、こだわった収録を続けていきたいと思います。よろしければ過去のナレーション収録に関するコラムもご覧ください。

◆みんながHAPPYになる収録台本の作り方

◆ナレーションとは?

◆ナレーション収録現場で必要なこと

◆収録現場~HOW TO ディレクション

 

その他の最新コラムはこちら