Pro ToolsとPremiere Pro

2017.08.30
Pro Tools、Premiere Pro

もう10年以上「Pro Tools」を使い続けているが、

最近、必要があってAdobeの「Premiere Pro」を触る機会が増えてきた。

 

今回はPro Toolsのユーザーとして、また音響エンジニア視点で、
Premiere Proについて感じたことを書いてみよう。

 

 

ファーストインプレッション

波形編集やミキシングなど、音の制作に特化したPro Tools。
世界中の音楽スタジオ、MAスタジオで圧倒的シェアを誇っているこのソフトは、
基本、「編集」と「ミックス」の2つのウインドウで構成されます。

 

一方、音声はもちろん映像の編集ソフトであるPremiere Pro。
とにかく色々なことが出来るらしい。その分、画面も複雑でウインドウがいっぱいある。
2つのウインドウでの作業に慣れたPro Toolsユーザーの私は
まず、どうにもこの複雑な画面に腰が引けてしまいました。

 

 

意外とPro Toolsみたいに使える

ファーストインプレッションでは、難しそう、、、

という印象を受けましたが、実際触り始めてみると
Pro Toolsみたい、といえば語弊があるが
音声に関しては、一般のDAW(音編集のソフト)の様に使えました。

 
ウインドウメニューから「オーディオトラックミキサー」を呼び出すと、
エンジニアには見慣れた、ミキサー画面が現れます。

 

 

 

これはタイムライン上のそれぞれのAudioトラックに対応した、ミキサーになっています。

 

 

「fx」の項目を拡大すると各トラックにエフェクターをインサートすることが出来、
標準装備のEQやコンプなどベーシックな物の他、
インストールしてあればWavesなどのAUやVST規格のエフェクトも使えます。

 

とりあえずこの「オーティオトラックミキサー」さえイジっていれば、
Pro Toolsのミックスと同じ様な感覚で、音をまとめられそうです。

 

 

Premiere Proを使ったナレーション音声の処理

標準で付いているエフェクトを選んで、
実際に声の処理をしてみる。
まずは基本、コレを使ってみる。

 

【パラメトリックイコライザー】

 

パラメトリックイコライザー、パライコは、
その音の、高い成分や低い成分など好きな部分を選択して、
その箇所の音量を増幅・減衰する。
音色をガラッと変えることも出来るし、音質の補正にも使われるものですね。

 

なんとPremiere Proについているこのパライコ、
fabfilterのPro Q2やWavesのH-EQと同じ様に「アナライザー」が付いているのです。
どの帯域がどれくらい鳴っているかをリアルタイムで視覚的に確認できるので、とても便利。
例えば、モコモコしてなんとなくスッキリしない声があった場合、
そのモコモコしている帯域をアナライザーで確認して、バサっとカットしてしまえばいいのです。

 

 

私が良くやる処理としては、
HP(ハイパスフィルター:ハイ=高域を通過させるフィルター。つまり低域をカット)で
80Hz以下ぐらいから様子を見ならが調整して、だいたい女性の場合は125Hzぐらいまでの低音をカットしてみたり。
それでも音がこもり気味ならば、4kHz付近を少し突いてみる。などなど色々してみる。
アナライザーを見つつ、実際に自分の耳で聴きながら「周波数」で効果的なポイントを探って、「ゲイン」を上げ下げします。

 

 

次に声に施す処理として。

 

 

【DeEsser】

 

ディエッサーは、「サシスセソ」「チ・ツ」などの文字の中でも高い帯域の音、
「歯擦音」が耳に痛い場合に、その音が出て来た時だけ抑えるというエフェクター。

 
これも処理を施したい周波数を選んで、処理の程度(しきい値)を調整して使います。
かけすぎると、声の「抜け」が悪くなったりするので、
自分の耳で確認しながら調整します。上手くやれば、聴きやすいナレーションになります。

 

 

【コンプレッサー】

 

今回は「チューブモデルコンプレッサー」

 

コンプレッサー、コンプは、
例えばナレーション全体を通した、声の音量差を抑えレベルを均一化するため、
なんかに使われます。
指定した値より大きな音を、ぎゅっと押さえつける。

という、感じの働きをするエフェクターです。

 

強くかけすぎると、音色にも大きく影響します。
逆にあえて強めにかけて音色に色付けしたりもします。

 

とりあえず、
プリセットから「ボイスオーバー」を選んで、
ナレーションの強めに発声している部分でちょこっと作動するぐらいに
しきい値を設定するぐらいで良いでしょう。

 

全体の音が小さいようならば、出力ゲインで
音量を上げるのにも便利です。

 

 

エフェクターをかける順番は、場面によって変わりますが
だいたいこんな感じ。
使いなれたPro Toolsのプラグイン・エフェクター群とは勝手が変わるけれど、
意外となんとかなりますね。

 

Premiere Proで作業する上での課題

音に特化して進化を続けてきたPro Toolsと比較して、
やはり音の混ざり具合が別物に思われます。
逆に、普段使っているPro Toolsってやっぱり凄いんだなぁと再認識しました。
それは、使っているプラグイン・エフェクトなどの問題ではなく
基本的な内部の音声処理なのでしょう。分厚く深い音はさすがツールス。

 

ただ、Creative Cloudのソフトウェア間の連携は素晴らしい。
Premiere Proで編集中の音声を「Audition」に簡単に送ることができ、
Audition上で標準装備の強力なエフェクトが使えちゃいます。無料でこれが使えるのは本当にスゴイ。

 

私の個人的な意見としては、やはり音制作はPro Toolsに軍配は上がるのですが
久しぶりに触ってみた他の編集ソフトは、
独自の工夫があったりして、とても刺激を受けました。
これからもPremiere Proどんどん触ってみようと思います。

私が書きました

松嶋 毅之