未知ににじむド音の色音

2016.09.28
現代音楽、ド音ピアノ、アクースマティック

今回は現代音楽のお話です。

 

先日、とあるコンサートに行って参りました。

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こちらです。

 

ピアノコンサートといっても、普通のピアノではありません。

タイトルにもあるように、「ド」の音しか出ない、

「ド音ピアノ」と呼ばれるピアノです。

 

それは一体なんなのか?

 

本来、ピアノという楽器は「ドレミファソラシ」の

1オクターヴが等しい周波数比で割られる、

「平均律」という調律がなされています。

 

ド音ピアノは、その調律を大幅に変え、

1オクターヴ間が「ド」の音しか出ないように

特殊調律されているピアノです。

 

「ドレミファソラシド」と弾いているつもりでも

「ドドドドドドドドド」となってしまう訳ですね。

 

すこし詳しく言うと、「ド」と「ド#」の間の

いわゆる微分音が鳴る、ということなのですが、

精度の高い音感を持たない場合、

ふつうに聴くとどの鍵盤を弾いても

同じ「ド」の音しか鳴っていないように聴こえます。

 

今回はそんな「ド音ピアノ」を中心に、

糸を織り上げながら演奏する「音の織機」と、

スピーカーのための音楽「アクースマティック」、

この3つがコラボレーションした

ちょっと変わったコンサートでした。

 

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「織機」については、みなさんも一度は目にしたことがあるかと思います。

七夕の織姫や鶴の恩返しなどでおなじみの、あの機織り機のことです。

中でも「音の織機」というのは、布を織りながら音の紋様を奏でる、

中国雲南省のタイ族に伝わる珍しい織機のことだそうです。

私も演奏は初めて聴いたのですが、とても涼やかで心地いい音色でした。

 

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舞台の上に設置されていると、なんだか神秘的です。

 

 

ちなみに「アクースマティック」というのは、

多次元立体音響装置を使用したスピーカーのための音楽を指します。

あらかじめソフト上で作成したサウンドファイルを再生し、

スピーカーを通して音色や空間的配置を計算、

それらをミキサーを使って制御することで「演奏」します。

 

使うスピーカーの種類やミキサーフェーダーの操作で

同じサウンドでも全く違った音楽に聴こえてくるのが

アクースモニウムの面白いところです。

 

アクースマティックについてはまた書く機会があるかと思うので、

いつかの機会に詳しくご説明したいと思います。

 

長々と言葉の説明をしましたが、感想。

 

ド音ピアノは「不協和音に近いのかな?」と思っていたのですが、

想像よりもずっと聴きやすくクリアな音色で、タイトルにもあるように、

和紙にじんわりと水滴が「にじみ」出るような、そんな夢心地の感覚でした。

微分音ならではの、繊細な音楽がそこにありました。

 

音の織機の音色はあまり想像できていなかったのですが、

機を織る独特のリズム、木と木が触れ合う少し硬質な音が不思議と

ド音ピアノ、アクースマティックとマッチし、

この3つの楽器でしか表現できない世界を感じることができました。

 

「いまいちピンとこない!」

という方はぜひ、実際にコンサートを聴きにいってみてください。

 

きっと新しい音楽の世界が開けるはずです。

 

 

私が書きました

鶴澤茉莉江